ハチャメチャ!辛口お見合い審査員!?
大地を踏み締めるように──ではないが。兎角男は先程剛拳を披露したはずの両腕を力なく垂れた上前屈みのような姿勢でゆっくりと歩みを進めていた。
「あ。やぁっと戻ってきた」
聞こえてきた声に男は頭を擡げて注目する。
「お疲れ様」
そこに居たのは。
「問題なさそうだな」
「ま。上々ってカンジ?」
"この世界"の支配を目論む、悪辣な双子。創造神マスターハンドと、破壊神クレイジーハンド──
「雑魚どもに人と同じ
クレイジーは薄笑みを浮かべながら。
「これが成功すればダークシャドウの奴らの負担も減って本命の計画の進行を望めるって寸法」
「気付くのが遅過ぎたくらいだな」
「僕たち忙しいからね」
口々に述べる双子に男は表情ひとつ動かさない。
「まーその形じゃ制限掛かって普段の三分の一も力出せなくて辛かったんじゃない?」
「戻してやろう」
ぱちん、と指を鳴らしたが刹那変化が訪れた。
男の体は足下に出現した
亜空軍に所属する剛拳の
ガレオムの姿を──
「じゃ。変に勘付かれる前に帰ろっか」
次いでクレイジーが指を鳴らせば即座に表世界から亜空間へ続く通り道が開いた。森林都市メヌエルといえばX部隊に所属する一部メンバーの故郷──せっかくの実験を台無しにされては堪らない。この成果を目にどんな顔をしてくれるものか気にならないという話でもないがこのエンターテイメントに目を輝かせるだけの馬鹿ばかりとも限らない以上は、
「……どうした」
ガレオムが遠く何かを振り返っている。
「まさか。X部隊?」
……噂をすれば迷惑な話だ。
「引き上げよう」
「そうだね。……お前もぼさっとしてんなよ!」
亜空軍の主将たる双子の命令にまさか逆らえるはずもない。目的を達成させる為だけの都合の良い駒とされる彼らに心があるはずも。……けれど。
森の奥をじっと見据えた剛拳の彼が。
ほんの僅かでも双眸に温もりを宿していたのは。
果たして。
本当に気のせいだったのだろうか──?