ハチャメチャ!辛口お見合い審査員!?




地上界にあるど田舎なんちゃって都市──こほん。
森林都市メヌエル……その都心部から大きく離れた場所にひっそりと佇む和製家屋。

「わぁ……!」

枯山水の庭を見渡せる位置にある一室で胸の前で手指を組みながら感動の声を漏らすのは。

「シアちゃん……とっても素敵よ。似合ってる!」
「白無垢なんか初めて見たわ」
「馬子にも衣装だな」
「ゆ、ユウ」

鈴を転がすような声が笑う。

「いいんです。いつものことですから」
「無愛想で天邪鬼で意地っ張りですみません」
「ちょっとそれ言い過ぎよ」
「大体合うてて否定できへんやないか」
「おい」
「うふふふふっ」

その少女は一頻り笑った後で。

「……では。改めて」

五人と向き合う形で座礼。

「本日は神聖なるブランの婚儀にお集まりいただきまことにありがとうございます。……特殊防衛部隊X部隊に務められる親愛なる皆々さま?」


竹林に囲われ木漏れ日の落ちる静謐な石畳の道を抜けた先に未来を予期すると云われるブランの一族の住まう家屋はある。

X部隊に所属しているユウはその一族の一人であり分家の長男でもあったのだが環境に嫌悪して距離を置いていた──そんなある日宗家の長女であり彼の従兄妹でもある少女シアに呼び出しを受けたユウはリンク、ドンキー、リム、リオンの五人を引き連れて嫌々ながらにこの場所まで足を運んだのだが……というのが冒頭に至るまでの流れ。

「此方こそお招き頂きありがとうございます」
「まさか婚礼衣装で迎えられるとは」
「俺らまでエエ服見繕ってもろて」

笑顔で応えるリンクに続けて微笑するリオン。そして続くドンキーの発言からお察しの通り五人は到着して早々着物に着替えさせられていたのである。

「……幾らするん?」
「一両もしないかと」
「意外と手頃な」
「十万ですよ」
「じっ」

下心の見え透く質問にシアが答えれば成る程と着物の袖を眺めたがリンクの耳打ちを受ければドンキーは暫し硬直した後で袖口を擦り合わせながら。

「匂い付けとこ」
「ど、ドンキー殿……」
「やめなさいよ恥ずかしい……」
「欲しければ幾らでもくれてやる」
「よっ! 太っ腹!」
「もぉぉぉ……」

共感性羞恥とはこのことを言うのだろう。

「それにしても」

リムは顔の赤みが引いた後で感心したように。

「シアちゃんが結婚なんて、ねぇ……」
 
 
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