ねこねこパニック!?



「うっ」

ダークウルフは静かに拳を握ると表情に影を落とし声を震わせながら。

「浮気だ……」
「付き合ってすらいないのにですか?」
「うるせえッ!」

涙目。

「猫にしてみれば鼠は捕食対象ですよ」
「ッそうだ! リーダー、そいつら危険です!」

なに馬鹿なこと言ってんだか。

「わ」

人懐っこいライトブラウンの毛色の猫はダークウルフの喚きを他所にスピカの鼻先を舐めた。妹相手以外に普段はそうはならないのだがこうも愛嬌を振り撒かれたのでは結んだ口元も緩むというもので。

「ったく」

お返しとばかりに喉元を擽りながら。

「……待ってろよ」

強く心に誓う。

「俺たちがお前らを使って馬鹿企んだ正義厨どもを絶対懲らしめてやるからな──」


そうしたら。

一匹くらい迎え入れてやってもいいかな。


なんて。


「リーダー!」

通路の中程にあった白い壁とほぼ一体化している非常階段へと続く扉が唐突に蹴り破られた。声を上げながら登場したのはダークフォックスである。

「お前……何処に行ってやがったんだ」

ダークウルフが目をぱちくりとさせる傍らでダークファルコは彼の腕に白銀の毛色の猫が見覚えのあるフードに巻かれた上で抱きかかえられていることに気付く。そして逸早く、察し。

「その猫は」
「ああぁあああっ!?」

ダークフォックスは台詞を遮って声を上げた。

「駄目っスよ、リーダー! そいつらは──!」


時既に遅し。


「うわっ!?」

次の瞬間ぼふんっと可愛らしい音が鳴ったと思うと辺り一面が白い煙に巻かれた。……くそっ!

あいつらやっぱり仕掛けてきやがった! 目眩しのつもりか知らねえが猫が煙吸ったらどうすんだ! とにかくさっきの猫の安全だけでも──
 
 
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