ねこねこパニック!?



一匹くらいなら迷い込むこともあるだろう。

某動画サイトなんかじゃ施設に侵入してきた動物を追い込んで逃がしたり捕まえたり。それでも人慣れしてるタイプの動物は抱き上げて移動させる様子が数千、数万再生されて話題になっていたり。


……でも。

この数は迷い込んだって数じゃねえだろ……!?


「動画に収めたらバズるんじゃないですか?」
「フォックスみたいなことを言うな!」

名前を出して思い出したけどアイツもアイツで急に抜けたっきり戻って来ねえし!

「リーダー」

ダークウルフは困り果てた様子で。

「どうしましょう……?」


いや、……どうすんだよこれ……


「依頼で預かっていたのでしょうか」

いやいやそれにしたって猫だけ放置して自分たちはどっか行くって正気かよ。

「ッ、テメェら! 尻尾に戯れ付くな!」

まさか蹴って突き放すなんて真似ができるはずもなくダークウルフは尻尾を隠すように壁にぴったりと背中を付けて対抗。スピカは屈み込んで昼寝したり戯れたり自由気ままな猫の群れを見守る。

「どうかされましたか?」

ダークファルコが訊ねた。

「……こいつら」
「はい」
「毛色が特殊だな」

猫といえばキジトラだの茶トラだのそればかりを連想するがここに居るのはそれに当て嵌まらない。白銀だったり黄金色だったり今までに見たことのないような珍しい毛色をしている。

「毛並みも悪くない」
「というと?」
「確実に野良じゃない」


その推理は着実に真実へと迫りつつある。


「……つまり?」

ダークファルコが興味深そうに質問を重ねると。

「あいつら」

スピカはその日一番真面目腐った顔で。

「自分たちの立場ならバレねーからって違法的な交配で生まれた珍しい毛色の猫を裏ルートで売り捌くつもりなんじゃ……」


沈黙。


「何だよ」
「いえ何でも」

いつもの様子で満面の笑みを浮かべながらさらりと返すダークファルコを目に訝しげにしていると。

「うおっ」

ふわふわの物体が擦り寄ってきて。

「、んだよ……」

と返す割には満更でもない様子で抱き上げてみればその猫はライトブラウンの毛色の長毛種。吸い込まれそうなコバルトブルーの瞳は宝石のようで暫し見惚れた後にいそいそと胡座をかいて座って足の間で放せば胸部に前足を置いて頭を擦り付けてきた。

「んんっ、」

分かってたけど。分かっちゃいたけど。

かんわいぃぃぃ……!
 
 
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