ねこねこパニック!?



他の連中はともかく下手したらうちの上司どもと同じくらい頭の回る正義厨が考えなしの輩相手に不覚を取られたもんとは考えにくい。別にどうでもいいけど。万が一それがあったとして何かしらの痕跡は残しているはずだ──どうでもいいけど!


不意に物音がしたのはその直後のことだった。

警戒に緊張が張り詰める。


「見てきましょうか」
「俺が行く」

率先して踏み出すダークウルフを止める理由などない。そもそも論ここは敵地のど真ん中なのだから相手だってとっくに侵入には気付いていて裏を掻いて不意を突こうとしている可能性すらある。


上等じゃねえか。

この俺を出し抜こうなんざ。


返り討ちにしてやる!


「リーダー!」

スピカはハッと我に返る。

「見つけました!」

正直、敵の存在に気付いてこうも大袈裟に声を上げるのは如何なものだろうといったところだがそんなことはこの際どうでもいい。扉を開け放ったまま物音のした部屋の奥から連れ出そうとしている様子のダークウルフにスピカは頬に黒の閃光を迸らせながら臨戦体勢に入った。それにしてはダークファルコがいやに冷静に腕を組んで見入ってるのが気にな、

「猫です!」


は?


「ね、」
「はい!」
「ねこ」
「はい!」

目を点にして声をひっくり返してしまいながらあからさま困惑を隠し切れないスピカにこれが証拠だとばかりにダークウルフが抱き上げたのは。

「猫です!」

そう宣言した通り。

紛れもなく。

「猫ぉぉおぉおおお!?」
 
 
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