ねこねこパニック!?
レイアーゼ中央司令塔内部、二階──資料室。
黒いローブのフードをすっぽり頭から被りながら落ち着かない様子で片っ端から本や資料を引っ張り出し見当違いと見るや否やその都度溜め息を吐き出すのはルフレである。……まさか薬の効果で兄さんにあんなことをしてしまうなんて。恥ずかしさのあまり勝手に飛び出していってしまったけれどさっきは物凄い音が響いていたし、大丈夫かしら……
「ばぁっ」
「にゃああっ!?」
誰かが室内にいるだなんて思いもしなかったのだ。後ろから両肩を掴まれて耳元で──これには声を上げないはずもなくルフレは猫耳と尻尾の毛を逆立てながらこれまた可愛らしい声を上げて振り返る。
「るぅちゃんってばかーわいー」
この軽薄な声色は。
「だっ、ダークフォックス!?」
思わぬ登場人物に二度目の喫驚。
「にゃにしてるのよ!?」
「るぅちゃんこそどうしたんスかその格好」
ちなみに。此方に関してはとある文書参照ではあるのだが意外なことに彼らは恋慕う仲なのである。
「こ、これは」
ルフレはフードを掴んで被りながら。
「ドクターがおかしにゃ薬を開発した弊害で」
「ふぅん」
ダークフォックスは薄笑みを浮かべながら右から左から果ては正面から覗き込んで。
「俺的にはアリ寄りのアリってカンジかなー」
続けざま。
「ちょっとケモノっぽ過ぎるっスけど」
ん?
「てゆーかそれ被り物?」
思っていた感想と違うような。
「るぅちゃん?」
覗き込むダークフォックスに構わずルフレは自身の顔をぺたぺたと触れるたが直後その感触にぎくりとして今度手のひらを広げて見る。
毛むくじゃら。
紛うことなき猫の手。
「にゃあぁあああっ!?」
これには流石のルフレも今日一番の大声を上げた。
「ど、ど、どうにゃ、って」
途端に力が抜けて床にぺたんと座り込む。
「ちょちょちょ、大丈夫?」
体が熱くて思うように動かない。
「は……早く……兄にゃん達に知らせ、にゃ……」
不意に言葉が途切れる。
「るぅちゃん!?」
ダークフォックスは著しい変化に困惑しながら。
「ええぇー」
ひとまず抱き上げて冷や汗。
「リーダーにも報告した方がいい系?……」