ねこねこパニック!?
とにかく。
この状態で任務や依頼を熟すのは例え見る側は良くとも此方の掲げる正義の尊厳に欠ける。それは皆も理解しているようで──いやまあ誰でも理由が付くなら仕事等したくないだろう。これに関してはこの部隊を執り仕切る隊長たる自分にだって分かる。
いっそのこと。
このまま何も考えずに眠ってしまえたら──
「……ふにゃぁぁぁ……」
欠伸を洩らしたのはツツイだった。それに続くようにして寝ぼけ眼で頬杖を付くもの伏せだす者──普段であれば粗悪な態度と見做したロックマンによるお叱りを受けるところだが今回はそういうわけでもないらしく。恐らくは夜行性たる猫が昼間には丸くなる特性の表れなのだろう睡魔に侵されつつある頭では半分程も思考が回っていないようで。
「緊急対策会議を、……マーク……」
返事がない。
「んぅ」
かと思えば鼻にかかったような甘い声。
ロックマンが視線を向けてみればそこには毛繕いのつもりなのか頭が寝ている様子のマークの頬や首筋を舌で舐めるルフレの姿が。如何なる状況であれ仲睦まじくあるのは結構なことじゃないか。……
ちょっと待て。
「ルフレ」
その光景を目に遅れて正気を取り戻し冷静になったロックマンが静かに名前を呼べばこれまた遅れて我に返ったルフレが「ぅにゃっ!?」なんて声を発しながら慌てて立ち上がった。耳の先まで真っ赤に染め上げ頭の天辺から湯気すら噴き出す彼女だったが仕舞い忘れた小さな舌が何とも、まあ。
「調べてきますっ!」
といった具合に──羞恥のあまりこの場に居座ることが憚られたのだろう。声を上げて勢いよく会議室を飛び出していってしまったが果たして宛てがあるのか否か。向かう先が資料室だったとして、そんなトンデモ資料があってたまるか。
「まるで本物の猫だにゃ」
「そうだにゃ」
頬杖を付きながら笑うケンと腕組み頷くリュウ。
「き、緊急対策会議だったね」
咳払いをしながらマークが立ち上がる。
「とりあえず元に戻るまでは自室待機でいいんじゃないかにゃ」
誰もがうんうんと頷く。
「……でも、いつ元に戻るんですか?」
「そいつは分からんにゃ」
ブルーが最もな質問を投げ掛ければ、リドリーにまさしく猫そのものといった威嚇をされながら椅子に座り直したドクターが答える。
「俺の見立てじゃ効果時間は短いはずにゃんだが」
「具体的には?」
マークの追い討ちにドクターは腕を組みながら。
「これから元に戻る薬を作るよりは遥かに早いタイミングで効果が切れるとは思うんだがにゃぁ……」