父なれば、父なれど
故郷のホコタテ星にあるとあるデパートで息子と娘が揃って迷子になった時。ペットショップでもなければ玩具売り場でもないと途方に暮れていた私の肩を妻がぽんと叩いて微笑んだ。慌てることはないと宥める彼女に事の重大さが分かっていないと眉間に皺を寄せた直後。同じように鐘の音が響いたのだ。
子どもというのはそういう生き物で。
常に興味の対象は更新され、惹き付けられる。
「!」
人混みを掻き分けた先の広場では今まさに多彩な音が響き渡り愉快な曲が奏でられていた。柱に飾られた小さな舞台の上では機械仕掛けの人形が代わる代わる顔を出しては音楽に合わせて踊っている。オリマーは暫しその光景に見惚れた後に視界の端の方で誰より前に出てそれらをじっと見上げる少年の姿を見つけた。紫色の髪。小柄な背丈。
「タブー!」
思わず声を上げるものだから変に注目を浴びてしまった。願わくば彼の特殊能力を使って周囲の記憶を零にしてもらいたいところだがあまりに自己都合。諦めて口を結んで待つこと数秒。
「……?」
普段通りの眠たそうな顔で振り返った。
「だれ?」
想像通りの反応だった。
「オリマーだ」
名乗りながら進み出るもタブーは相変わらず。
「しらない」
何色にも染まらない無表情のまま。
「ダークオリマーならしってる」
私が、本物なんだが……
「あー!」
声を上げたのは追いついてきたクレイジーだった。
「やぁっと見つけた!」
苛立ちを滲ませ眉を寄せながら。
「お前さぁ──」
「どこにいってたの」
まさかの。
「マスターもクレイジーもすぐまいごになる」
タブーはむっとした表情で。
「すきかってこうどうしないで」
ええぇ……、ん?
「ぼくはすぐもとのばしょにもどったのに」
「僕たちが悪いって言うのかよ!」
威嚇モードで言い返すクレイジーだったが。
「よせクレイジー」
おや?
「お前だってタブーを捕まえてくると宣った数秒後には建物に入ってすぐの場所にあった菓子屋の冷蔵ショーケースの中身に気を取られていただろう」
おやおやおやおや?
「んなっ……それ言ったら兄さんだってタブー全然関係ない本屋にいたじゃん!」
「必要事項だ」
「僕だって別に何処で食べようかなあって!」
こうして騒ぐ分には紛うことなく子どもなのだが。
「みぐるしいね」
うーん。反応しづらい。