父なれば、父なれど
「くっ」
背丈が低いのは同じことでもそれを遥かに上回るのが白ピクミンである。人と人との間を縫うように、どころか足と足の間を抜けていく。あっという間に見失ってしまうとオリマーは膝に手を付きながら情けなくも大きく息を弾ませた。ホイッスルを常備していなかったことを悔やんだところで仕方ないがそれにしたって自分のことをリーダーだと認識はしているはずなのに何故そうも逃げるのだろう……?
「おい!」
無愛想な声が降り注ぐ。
「忘れ物してんぞ!」
「、……買ってくれたのか?」
「勘違いすんな!」
顔を顰めて吐き捨てるクレイジーの手には人参たっぷりの買い物袋があった。置いていけばいいものをわざわざ購入してきてくれたらしい。
「お前のクソザコ手下どもがしつけぇーんだよ!」
言われてみれば確かに何故かピクミン達が肩や頭の上に乗っかっている。攻撃も行わずリラックスしている様子だし寧ろ心を許しているのでは。
「で。何か見つけたのか」
訊ねるマスターにオリマーは首を横に振った。
「見失ってしまった」
「だろうな」
この人混みの中でピクミンの中で最も小柄で機敏な白ピクミンを探そうなんてのは至難の業。
そしてそれはタブーも例外ではなく──それというのも近頃は髪の色だけでは判別が付かないくらい皆思い思いの色に髪を染めているのだ。つまり髪が紫色の人物を見つけたからといってそれがその本人とは限らないわけで……それでも確かにこの目で彼の姿を見たのだが溢れて止まないこの人混みの中ではどちらにどう流れたのか見当も付かない。
「あーもうほんとに人多すぎウザすぎ! 破壊してやってもいいんだけど!?」
「やめないかクレイジーこんなことで力を」
憤慨する弟をその兄が宥めていたその時である。
「──!」
鐘の音が鳴り渡ったのだ。
思わずびくりと肩を跳ねて振り返った先には広場と思しき空間があるようで人々は皆そちらに興味本位で足を向けていた。人波の流れはほんの少し変化を見せたが全てではない。何より共通点がある。
そして、ふと。
昔の記憶を思い出したのだ。
「な、おいっ!?」
駆け出すオリマーにクレイジーは声を上げる。
「うろちょろすんなって!」
運悪く人波に阻まれて立ち往生。掻き分けて進みたいところだが思うようにいかず苛立ちを含みながら更に大きな声で。
「迷子になりたいのかよ!」