父なれば、父なれど



彼らに協力を要請した理由は、ピクミン達が一定の範囲内に踏み入ると一度敵だと見做した彼らの敵性を感知して攻撃を仕掛ける癖が付いていたからというのが主だった。そうなると彼らにはその都度痛い思いをしてもらわなければならないわけだが指示も何もないピクミンの攻撃力はたかが知れている。

故にご覧の有り様。青ピクミンも黄ピクミンも釣られて出てきて足を叩いたが直後に捕まえられて今はじたばたと情けなく暴れている。

「はい」

何を言われるよりも先にクレイジーがぱっと手を離して解放すると地面に不時着した青ピクミンは鳴きながらオリマーの元へ駆けつけた。続けざまマスターが黄ピクミンを解放すれば黄ピクミンも急ぎ足でオリマーの背後に回り込む。

「これで全部?」
「いや……」
「お客様すみません」

声を掛けられてギクリ。オリマーが振り返れば女性店員が眉を下げながら此方を見つめている。まさか他の客が迷惑客として通報したのだろうかと焦りを滲ませていると。

「そちらのお花の代金を……」


花?


「……?」

オリマーが怪訝そうに振り返るといつの間にか赤ピクミンが一本の黄色い薔薇を持っていた。彼らの言語は分からないが青ピクミンと黄ピクミンも加わり黄色い薔薇を目に何やら話し合った後でオリマーを見上げながらぴょんぴょんと飛び跳ね始める。

そういえば、彼らは花の蜜が好物で摂取すると頭の葉に成長を促す効果を得られた。最も今いる彼らは全員花を咲かせているので摂取は不要のはずだがそれはそれとしても好物だからこそ欲しくなったのだろう。納得をしたオリマーは店員と改めて向き直り配布を取り出してその場で会計を済ませる。

「……黄色い薔薇、ねぇ」

クレイジーは何やら意味深に。

「すまない」

オリマーは財布を仕舞った後で振り返る。

「待たせ、」


人波に逆らうように通路を徒歩する紫色の影。


「、タブー!」
「はっ?」

反射的に素っ頓狂な声を上げるクレイジーを差し置いて駆け出すオリマーに遅れを取るまいとマスターもその後を追いかけたが、肝心の紫色の影はオリマーの繰り返し呼ぶ声に気付いてなどいないのかどんどん先へ行って人混みに埋もれてしまう。

「くっ」

とはいえここは人より幾らか背が低いことが救いとなったようで思っていたよりも早く人混みを抜け出すことに成功したオリマーは紫色の影が一体何処へ消えてしまったものかと辺りを見回す。どうやら、ここは食品売り場のコーナーのようだが……

「見つかったのか」

横に並んだマスターが訊ねる。

「いや……」
「あれじゃない?」

クレイジーが指差した方向に見つけたのは。
 
 
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