父なれば、父なれど
色彩豊かな花々や観葉植物。澄んだ空気が充満するこの場所は花屋と園芸店が複合したコーナーのようで贈り物やインテリアに悩む人々で賑わっていた。今しがた店員との会計を終えて大きな花束を受け取る男性がレジを離れて横切るのを目に勝手な想像を膨らませてしまいながら歩いていれば。
「何あれ。キツすぎ」
風情も何もあったものじゃない。
「あんなもの貰って喜ぶ雑魚とかいんの?」
「数百年前から進歩していないな」
「その場限りで処分に困るだけっしょ」
「家畜の餌にもならない──」
男性が振り返るより先に物陰に引っ張り込めば。
「……意見はそれぞれあると思うが」
冷や汗を垂れながら。
「少し発言に配慮してもらえないだろうか……」
私も一緒に彼を探そう。
その代わり。
ピクミンを探すのを手伝ってくれないか?
横を歩いているだけで構わない。……
「注文多くない?」
クレイジーは腕を掴んだ手を振り解く。
「僕たち神様なんですけど」
彼らの部下が上司たる双子に対して手を焼いている場面は度々目にしていたがまさかここまでとは。それでも時折丸みを帯びた振る舞いを見受けられた気がするが今日という日にそれを都合よく期待するのはやめておいた方がいいらしい。
「付き合ってやってるだけ感謝してよね」
例えば自分が彼らが気に入っているであろう一部のメンバーと特別仲が良い等深い関係があれば違ったのかもしれないがそうでもないというのに駄目元の交換条件を呑んでくれたのだ。頭を下げて感謝、とまではいかないが暴れて回らないだけマシなもので多少の言動くらい大目に見なくては──
「何これ。青い薔薇?」
「造花だろう」
「偽物かよダッッッサ」
「陳腐で低俗な人間の考えそうなことだな」
こらこらこらこらこら!
「マスターハンドっ、クレイジーハンドっ」
父親にでもなった気分だ。それにしたってこうも手を焼く息子を育てたつもりはないが──オリマーはいつの間にか離れて造花(らしい)青い薔薇を覗き込んで口々に失礼極まりない感想を述べるふたりを止めに入る。ああもう言わんこっちゃない傍を通りがかった店員の鋭い視線の痛いこと痛いこと……
「痛っ」
もちろんこれは物の例えであって視線が実際に攻撃性を持って刺すことはない。
「!」
クレイジーが足下から先程と同じように頭と葉の間の部分を掴んで持ち上げたのは青の個体。時を同じくしてその隣でマスターが黄色の個体を首根っこを掴んで持ち上げればオリマーは目を丸くする。
「これでいい?」