父なれば、父なれど



双子のやり取りに見惚れている場合ではない。人質──ならぬピクミン質を取られている状況は変わらないのだ。オリマーが改めて構え直すと何気なく横切った状況を知らない店員が「いらっしゃいませー」と気の抜ける挨拶を交わした。それにも幸い張り詰めた糸を緩めることをしなかったオリマーだったが反してマスターはクレイジーと視線を交えるとやれやれと息を吐き出した後で。

「……!」

赤ピクミンを丁重に床に解放して。

「俺たちも遊びに付き合っている暇はないんだ」
「そうそう」

駆け寄る赤ピクミンが後ろに回って足にしがみつくのを見届けた後でオリマーは向き直る。

「新世界創造計画……か?」
「僕たちのこと年中働き詰めのブラック勤めとでも思ってんの?」

少なくとも部下の方はそう見えるが。

「プライベートだってば」

オリマーは思考を巡らせる。

確かに。放っておけばよかったのだが。

「……タブーか?」


その沈黙が答えだった。


「あいつほんと気まぐれにどっか行くから」
「逸れたのか?」

まさか奇しくも似通った状況とは。

「建物を訪れた直後に走り去ってしまってな」

細部までよく似ている。

「別に放っておいてもいいんだけどね」
「良くはないな。あれは教養が人並み以下だ」

心配している点も。

「そーゆーことだから」

クレイジーは話に一区切り付けるようにそう言うとマスターに気怠げな視線を流して促す。

「いこ。兄さん」
「待ってくれ」


呼び止めたのは言うまでもなく。


「何」

ただの単なるプライベートで訪れていたところを水を差すように連れが行方を眩ませた上で敵対部隊のその一員に行く手まで阻まれているのだ。加えて破壊神ともあろうそのひとが快く応じてくれるはずもなく心底気を損ねた様子で呟けばほんの一瞬店内の照明が点滅した。マスターは短く息を吐いたがオリマーは尻込みする様子もなく言葉を続ける。

「私も一緒に彼を探そう」

思わぬ展開に訝しげに視線を交わしたふたりが次に向き直って口を開くより先。

「その代わり。……」
 
 
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