父なれば、父なれど
とある惑星で見つけた不思議な生き物、ピクミン。
(全ては推測の域を出ないが)彼らは植物と動物の特徴を併せ持つ歩根類の一種で植物から進化したと考えられていて──しかしながら繁殖力が高い分個体ごとの力や生命力は微々たるものらしく、ひと度攻撃などの耐性を持たない脅威に晒されるといとも簡単に、それこそ呆気なく死んでしまうような脆弱性があるものの過酷な自然界を生き抜くだけの激しい一面や強かさ、冷酷さを秘めている……
地面から自分を引き抜いた者をリーダーとして認識し付き従う一種の刷り込みのような習性があり、それを利用して幾度となく窮地を脱し救われ切り抜けてきたが共に戦場を生き抜いた相棒のような存在でありながらその実態は未だに解明しきれていない。
そもそもの話。
彼らにとって私とは"何"であるのか。
「、……」
伸ばした手のひらに当は無く。
人の膝丈にも満たない彼らが人波に逆らい擦り抜けていくのを呆然と見送った後でその手を力なく下ろして思考停止。類を見ない命令無視の行動に今まで此方が抱いてきた友情やら何やらは何だったのか。
あるはずもないか。
いずれも推測の域を出ない仮初ならば。
自分こそ、それほど背丈が高くもないもので。そうなると近頃の育ちのいい人々にとっては視界的に見当たらないのだろう一人二人とぶつけられてよろけたところでとりあえず歩こうと思い立つ。彼らの代表格たる赤ピクミンは人の足下を潜り抜けて何やら文房具のコーナーに向かったかのように思えたが。
そうして今度の話の主人公を飾るキャプテン・オリマーは歩き出す。まさか自分がとんでもない事態に巻き込まれるものとは思いもよらぬまま。……
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