トンデモベビーシッター!?



……今のは。

「ゴーストタイプのポケモンか?」

大柄の男の一人がおもむろに携帯端末を取り出し、ライトを付けて辺りを照らし出す。

「マーシャドー、だったりしてな」
「そいつぁ幻のポケモンだろ? 幻のポケモン様がこんな辺鄙へんぴな場所に住み着くもんかね」


扉が閉まる。


「おいおい静かに閉めろよ」

今のは自分じゃ──そう弁解しようとも思ったが相手がゴーストタイプのポケモンならこの程度の脅かしほんの序の口であるに他ならない。悪い悪い、と返した細身の男は振り向きざまに玄関の扉に視線を刺すとさっさと上がり込む二人の後に続いた。

「お邪魔しまぁす」

リビングと思しき一室に踏み入る。

しかしそこには闇が広がるばかりで人の気配は感じられない。相手がゴーストタイプのポケモンであると仮定して部屋が暗いのは納得がいくのだとしても見知らぬ相手に対して随分な歓迎かのように思う。

「居ないのか?」
「まさか」
「はいはーい!」

この場に見合わぬ溌剌とした声で突如として暗がりの中から現れたのは白銀の髪の少女。齢十にも満たないであろう背丈のその少女は子どもさながらに欠片も警戒心を持ち合わせていないようで元気に手を挙げながら軽やかなステップで進み出る。

「おはようございますこんにちはこんばんは! お待たせいたしましたお兄さん方、何々どうしてどのようなご用件でこちらに?」

大柄の男が訊ねた。

「お嬢ちゃんは……ポケモンかい?」
「いえいえいえいえそんなまさか私はただの」

少女が言い切らない内に。

「ひゃわ!?」

いつの間にか回り込んでいたもう一人の大柄の男が少女の手を後ろ手に回させて拘束。

「よし捕まえた!」
「なになになに何するんですか! 痴漢ですよ詐欺ですよ訴えますよ逮捕しますよされますよ!」

そうは騒いだが小柄な少女が筋骨隆々とした男に敵うはずもなく力を込められてしまえば痛い痛い! と、これまた大袈裟に声を上げて。

「やれるもんならやってみろってんだ」

男の発言に少女はもがくのをぴたりと止める。

「じゃーやってみますね?」
 
 
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