トンデモベビーシッター!?
……ぱたん。
「さて」
ダークファルコは目を細めて笑ったまま。
「物色するとしますか」
「リーダーの部屋は、っと」
「テメェら」
各々自由に行動を起こそうとする二人の後ろ襟を素早く掴んでダークウルフが阻止。
「勝手にウロチョロするんじゃねえ!」
「お堅いですねえ」
「リーダーとの約束だろうが!」
「真面目すぎぃ」
とまあ茶番はさておき。
「何よ。ちっとも可愛くないじゃない」
声がしたので振り返ってみれば。
「私の方がずぅっと美人で可愛いわぁ」
「確かに不細工ねぇ」
「おい」
ガードの上からベビーベッドを覗き込むのはダークピチューとダークプリン。ダークウルフは彼女らが変な気を起こす前にと即座に歩み寄る。
「にやにや笑っちゃって……気持ち悪いったら!」
「子守唄でも歌ってあげましょうかぁ?」
「やめろ。テメェ音痴だろ」
コピーの癖に(なんて言うのはブーメランな上に本人の前で言うのは御法度だが)自分こそがリーダーの妹だと言い張って頑なに譲らないダークピチューと特性が反転する偽物の弊害とばかりに本物と違って歌とも音とも縁がないだけでなく和製英語のイントネーションすら怪しいダークプリンがどうしてここにいるのかという質問は今更といったところだろう。そもそも影さえあれば難しいことを考えずとも自由自在に表の世界と亜空間を行き来できるのがダークシャドウの特質である。
「気に食わないなら見なきゃいいだろうが」
「いずれ此方側に招くなら刷り込みは大事よぉ?」
「ふざけんな」
ダークウルフは眉間に皺を寄せながら手荒にダークピチューとダークプリンをガードから引き剥がして押し除けながら様子見がてら覗き込む。
「、あ」
目と目が合う。
反射的に逸らしたが刹那。
「うぇっ」
家中に響き渡る泣き声に言い付けを守らず物色していたダークフォックスはぴんと耳を立てた。
「何何何」
「泣かせたんですか?」
「う、うるせ……っや、嬢ちゃんじゃなく……!」
ひょいと縦に並んでダークフォックスとダークファルコが角から覗き込めばそこには大声を上げて泣き喚くルシュを抱きかかえて慌てふためきながらあやそうとするダークウルフの情けない姿。
「ちょっとぉ……五月蝿いわよぉ」
「どぉにかしなさいよ! 可愛くなぁい!」
「静かにしやがれ!……あぁあっ……ど、どど、どうどう……っ!」
ダークプリンとダークピチューは耳を塞ぎながら嫌そうな顔。一方でダークウルフもスピカがしていたように見様見真似で左右に揺れたり揺すってみたりしてみたが全く効果がないらしく狼狽。
「り、リーダーに連絡を」
「五分も経ってねーじゃん」
「しかしだな……っ!」
ダークウルフが狼耳を垂れていると。
「、!」
影が差したかと思えば頭上から。
掬い上げるようにしてルシュを回収したのは。
「腹が空いているのだろう」
ダークガノンドロフは慈愛に満ちた柔らかな表情で優しくあやしながら。
「……ミルクを作ってあげなさい」