史上最凶のモテ期!?
響き渡る悲鳴に喧騒が止んで注目した先。
「ローナ!?」
ネロが驚愕するのも無理もない──そこにいたのは可哀想にアフロヘアーと化した頭に全身真っ黒焦げといった見るも無惨な姿となってしまった妹の姿。急ぎ駆け付けたシフォンに抱き起こされたローナはその隣で膝を付いて覗き込むネロに。
「ネロ……知っているかい……」
白目を剥いて口の端から黒い煙を漏らしながら。
「聖水を……ぶっかけようとすると怒られる……」
「当たり前だろ!」
うちの妹は何しようとしてくれてたんだ!
「ルーティがいないわ」
シフォンの言う通り確かに彼の姿が見当たらない。
「こっちには走ってこなかったわよ」
視線を受けたリムが聞かれるより先に答える。
「……ちっ」
ネロは舌打ち混じりに立ち上がると革ジャケットのポケットに手を突っ込みながら。
「絶対ェ逃がさねえ……!」
全員とまではいかずとも屋敷に居た半数以上はあの場に集結していたのであろう廊下は厭に静かで。ルーティは息を弾ませながら今度こそ謎の液体を洗い流すべく浴室を目指し駆けていたのだが。
「うわっ!」
正面衝突からの転倒──
「危ねえな」
……は、どうにか免れることができた。
「よそ見してんじゃねェよ」
「ご、ごめ──」
だからといって律儀に謝ってどうするのだ。脇目も振らず逃げるのが最優先だろうに。
「……あ」
そう思ってぶつかった際に腕を掴み転倒を阻止してくれていた相手の手を無理矢理に振り解こうと顔を上げたが正体が知れれば思わず声を呑み込んだ。他の誰かなら失礼ながら迷いは生じなかったのだろうが相手が他でもないパートナーともなれば話は別。
「うっ……ウルフ……」
どうしよう。
「あ?」
突き放してでも逃げなくちゃいけないのに。
「何ジロジロ見てやがる」
動けない。
「……ウルフは」
ゆっくりと口を動かして訊ねる。
「僕のこと、好きなの?……」