史上最凶のモテ期!?
万事休す──と、次の瞬間。
バゴォッ!
「え」
扉のすぐ横の壁が通路側から破られる形で崩壊。
他より力に自信があるという理由だけではこのような芸当が出来るはずもない──ともなれば当然ある程度その犯人は絞られる事となる。冷や汗を垂れ流すルーティの横で既に目の色を変えて臨戦態勢であるユウとリオン。周囲に蔓延していた砂埃が時間の経過と共に晴れていけば犯人の正体が露わとなる。
はてさて。現れるのは魔王かゴリラか──
「……みぃつけた」
ちょっと待ってええぇえ!?
「り、り、リム……っ!?」
そりゃ確かに有名格闘道場の娘だけど! 壁を拳で一撃粉砕ってどうなってるの!?
「二人だけで味わおうなんてそうはいかないわよ」
驚きを通り越してもはやドン引きしているルーティに構うはずもなくリムはどす黒く渦巻く重く不穏なオーラを背に指の関節を鳴らしながら。
「私も混ぜてもらうんだから……!」
そっちなの!?
「サンドイッチということですね分かります」
「貴様も趣味が悪いな」
「あなた達に言われたくないわよ!」
「いや正気なのそうじゃないのどっちな──」
展開は転々と変移する。
「わあっ!?」
空いた穴から伸びた影がルーティに巻き付いたかと思うと強い力で引き上げられて宙ぶらりん──そのまま誰かの腕の中にダイブ。何事かと思えばそこに居たのは三色の髪色が際立つアルフェイン兄妹……しかもお姫様抱っこという形で腕の中に受け止めたのは長男ではなく末妹のローナの方で。
「あなた達っ」
「油断する方がいけないのよ」
「そーだそーだ!」
どうやら先程の影の正体はシフォンの放った蔓の鞭によるものだったらしい。睨みを利かせるリムに薄笑みを浮かべるシフォンと便乗するローナ。
「ルーティは僕たちと結婚するんだから!」
多重婚!?
他二人はともかく今まさに大本命がこの場に居合わせてしまっているネロまで巻き込むような形でそんな宣言を許していいのか。ローナに抱きかかえられながらルーティが訴えかけるような視線を飛ばせばネロは静かに瞼を伏せながら。
「……俺は」
意味深に呟いた後でカッと目を開いて。
「リムもレッドもルーティも──全員と結婚するッ!」
「流石に擁護できないよ!?」