史上最凶のモテ期!?



全力疾走──と、その時だった。

「っ!?」

横切る寸前に開いた扉から伸びた手に捕まえられて声を上げる暇もなくあっという間に。その上でご丁寧に口まで塞がれてしまっているのだから助けを呼ぶ以前の問題で(叫んだところで事態の悪化が目に見えているが)。背にした扉の向こう側でどたばたと忙しない足音が遠ざかるのに安堵したいところだったが既に見えている二つの影を前に絶望以外の感情は抱けない。ルーティは青ざめた顔を引き攣らせる。

「ハァッ……ハァッ……」

目と鼻の先で興奮に喘ぐ声。

「でかしたぞ。駄犬」


よりによってこんな時に。

一番会っちゃいけないでしょこの二人だけは──!


「はわわっ……!」

目にハートを浮かべて恍惚と見つめながら飼い主のサインを"待て"している彼が当たり前に平常心であるはずもないわけで。というよりこの人の場合は普段と大差ないのではなかろうか──兎角獲物の状態を確かめるかのように鼻を寄せて耳の裏や首筋の匂いを嗅ぐリオンにルーティは体を強張らせる。

「貴様も運の無い奴だな」

ユウはその横に屈み込んで覗きこむ。

「コイツには三日程"おあずけ"させているんだ」

えげつないことされそう!

「ハァッ……ルーティ殿……」
「ぼ、僕は食べても美味しくないよ!?」

ルーティの訴え(決してそういう問題ではないが)にリオンは恍惚と目を細めながら。

「何を言う……桜餅のような柔らかな頬に白魚のような華奢な手指、極上の弾力を持つ太腿がこの期に及んで美味でない筈がないではないか……っ!」

変態度合が超越してる!

「ユウ……っ」

辛抱堪らないといった具合に浅く息を弾ませて迎え舌の如く唇の間から覗かせた舌に唾液を垂れながら切なく名前を呼ぶリオンにユウは不敵な笑み。

「……いいだろう」

彼らの辞書に手加減なんて文字があるはずもない。

今度こそ、完全に終わった……!
 
 
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