史上最凶のモテ期!?
斯くして。
「──ルーティ!」
名前を呼ばれたその本人と仲間たちによる。
「俺と結婚してくれ!」
絶対に捕まってはいけない命懸けの鬼ごっこが幕を開けたのである。
「我が輩のモノになるのだ!」
「私の伴侶に!」
「横取りするのはルール違反デス」
「俺の獲物に手を出すな!」
「段ボールについて熱く語り合おう!」
いやいやいやいやいや!?
走れば走るほど開いた扉から曲がり角から物陰から段ボールの中から次々と──こうなってしまった原因はどう考えても倉庫を掃除してた時に落ちてきた瓶の中に入っていたあの謎の液体だろうし、それを分かっているからこそさっさと水を頭から被って洗い流してしまいたいのに皆が皆目の色を変えて飛んでくるものだから足を止めように止められない……というかスネークは何!? それ告白なの!?
「ひゃぶっ!?」
なんて余計なことを考えながら走っているからいけないわけで──声を上げて転倒したルーティの足首に巻き付いていたのは電気を帯びた特製の鞭。護身用の銃からそれを伸ばしたサムスは勝利を確信したかのように不敵な笑みを浮かべながら。
「おねショタの時間よ……ルーティ……」
あまりにも嫌すぎる!
「わっ!?」
女性を相手に電撃を浴びせるわけには──なんてこの期に及んで良心に苛まれ引き摺られるがままだったところに救世主。謎の攻撃によって鞭が分断されたが直後その攻撃を仕掛けた張本人がルーティとサムスの間に降り立った。こうなったら何処からどのようになんて細かいことを気にしてはいけない。
「げ、ゲムヲ……!」
影で作り出したハンマーを手に終始無言でサムスと向き合う彼の背中から"男"を感じた気がしてルーティは目頭を熱くさせながら指を組んだが、ふとその彼の足下に落ちた黒い影が蠢き文字の書かれた彼愛用のお馴染みスケッチブックが取り出されると。
「……ん?」
ルーティは眉を寄せて。
『おにショタの方が絶対いいよね』
どっちでもないよ!
「いいわ。貴方から分からせてあげる」
サムスは何か変なスイッチ入っちゃってるし!
「ご、ごめんね……二人とも……っ!」
程なくして攻撃の打ち合いを始めた二人を前に声を潜めて謝りながら息を殺して抜き足差し足──後の猛ダッシュ。奇跡的に気付かれていない。
「ひええ……っ」
あの謎の液体の効果は絶大だ。浴室に飛び込むのが得策だろうが易々と許してくれる状況でもない。
「見つけたぞルーティ!」
とにかく。
「わあああっ!?」
今は皆から逃げることに専念しなきゃ──!