うちの弟がクソガキすぎる
「ちょちょちょっ、なぁおいっ!」
パックマンが慌てたようにルフレの袖を引く。
「、引っ張らないでよ!」
「いーからっ!」
一際大きな声のやり取りにマークが静粛を促すように人差し指を立てると、それみたことかとばかりにパックマンに対し睨みを利かせた後でルフレは眉を寄せた表情のまま向き直る。
「……!」
顔を顰めるロックマンとその原因たる盤面。
長考を余儀なくされた圧倒的不利状況。
「あっれぇ?」
誰が見ても一目瞭然たるそのあからさまな様子の変化に気が付いたクレイジーは足を組みながらわざとらしく声を上げる。
「どーしたのかなー正義の部隊隊長サン?」
このままじゃ隊長が──! 自分が思案したところでどうしようもないものとは分かっていてもルフレは目を走らせる。今から動かすとすればビショップだがここを動かすと今度キングを守れない──だからといってルークを動かしてしまえば今度は相手のクイーンの進行を許してしまうことになる。
兄ならどう捉えるだろう……そう思って視線を遣れば彼も顎に手を当てながら何やらぶつぶつと呟いていた。恐らく同じように頭の中でああでもないこうでもないと試行錯誤していたのだろう──それでも視線に気付くとぎくりと肩を跳ねて咳払いをした後改めて向き直る。
「ああなると流石のぼくでも結構キツいぞ……」
「隊長、どうするんだろう」
囁く声が不安を物語っている。
「ねぇ外野どもうるさーい。僕集中できなーい」
もちろん、これもわざとである。こんなことで集中力が切れてくれるなら太鼓でも持ち出して騒いでやりたいところだが全国生放送の最中ともなればそういうわけにもいかない。
「……あのさぁ早くしてくれる?」
その場が静まり返ったところで追撃。
「僕たち神様ってけっこー忙しいんだよね」
嘘つけ。
「いつも仕事押し付けてるだろ」
「聞こえてんぞクソゴミ役立たず」
「はぁあ!?」
「り、リーダー」
スピカが堪えればクレイジーは舌打ち。
「いいからさっさとしろよな」
苛立った様子で言い放った後に今度いいことを思い付いたとばかりに悪辣な笑みを浮かべながら。
「カウントダウンでもしてあげよーか?」
数え始める。
「はい。じゅーう、きゅーう……」