キーメクスの審判
天空大都市レイアーゼ。
中央司令塔二階──会議室。
同日。
午前八時五十九分。
「皆、集まったな」
長方形のテーブルの短辺に当たる席に腰を下ろしていたロックマンが話し声や物音の途切れたタイミングでおもむろに口を開くと室内は水を打ったように静まった。
「これより」
ロックマンは冷たく視線を上げる。
「各地で発生している連続怪奇事件に関する情報の共有基作戦会議を始める」
時計の長針が天辺を示せば──鐘の音。
「ルルト」
真っ先に挙手したその人をロックマンが呼ぶ。
「森林都市メヌエルでは二件あったわ。開拓の進んでいた地域の草木の異常成長による工事の取り止めと近隣住民の後天的な色の変異」
そうしてルルトが話を終えたタイミングで。
「デイジー」
今度呼ばれたその人が咳払い。
「私の家──んん、……サラサランド近辺で連日災害レベルの大雨が続いているそうよ。旅行者による帰宅難民がごった返してるみたい」
資料を捲る音。
「……レイアーゼ高原」
ハルは相も変わらず淡々と。
「近頃異常発生している魔物……本来ならハイラル地方に生息する希少種だという話が出てる」
「あ、……っと……其の依頼は今朝方X部隊が受理していたで御座るよ」
おずおずとミカゲが報告する。
「メンバー編成は?」
「リンクさん、ドンキーさん、リムさん……それにユウさんとリオンさん。以上五名です」
即座にブルーが答えるとロックマンは唸った。
「パックマン知らないけど大丈夫じゃない?」
「編成のバランスも取れとるし」
「厄災……いや、災厄の目もおるからな」
パックマンに続いてシラヌイとモウカが口々に。
「彼らが事態に気付く良い機会かもしれない」
ソラが言うとロックマンは頷いた。
「報告を続けてくれ」
──その後も資料を捲る音や意見する声や質問する声が飛び交い、三十分が経過した。求めた報告が全て終えられたものと判断するとロックマンは小さく息を吐き出して顔を上げる。
「以上のように各地で発生している怪奇事件にはある共通点がある。一つはこれだけの被害を受けておきながら不気味なくらい問題視されていないという点。そして、……もう一つは」
ロックマン含む各位の目の色が冷たく変わる。
「事件の起こった現場周辺では"必ず"ダークシャドウが目撃されているということだ──」