キーメクスの審判



しん、と辺りが静まり返った。

「……よう」

現れたのはスピカだった。無論お馴染みの取り巻きたるダークシャドウの三人もいる。

一体何番煎じなのか。いくら注意を促しても双方共に気を付けているように見えてもこうして引き合わせられるのだからこれはもう運命だと言っても過言ではないのではなかろうか──ルーティは頭を抱えそうになりながらも動向を見守ることにする。

「元気してたかよ」
「う、うん」
「ははは」

ロックマンは柔らかな表情でせせら笑うと。

「……"また"君か」


ですよね!


「なっ」
「どうせ今度も大した用事じゃないんだろう」
「勝手に決め付け、」
「挨拶も済んだことだ。帰巣されては如何か」

ぶちん、と何かの切れる音が鮮明に。

「誰が"動物"だッ!」

つい数日前はあんなにも助け合って和解したように見えたのに──! 黒背景に龍虎を浮かばせてバチバチと火花を散らして睨み合うこの光景はまさしく慣れ親しんだ日常……いやいや、こうも嬉しくない日常の光景があってたまるか!

ていうかユウが退散した本当の理由ってもしかしてこっち!? こっちなの!? こうなる未来を予知してたってこと!? それは流石に言ってよ!

「自覚済みなら説明が省けて助かるよ」
「テメェこないだは譲られておきながらッ!」
「譲れと申し出たつもりは一切無い」
「減らず口っつーんだよ!」
「随時反応するから返ってくるんだろう」
「嫌味を言うからだろぉーが!」
「悪人相手に好意的な発言をするはずもないな」

ああ言えばこう言うのオンパレード。いつの間にかロックマンも椅子を降りてスピカと対峙しているしギャラリーまで出来てるしっ……ルーティは冷や汗が噴き出すのを感じながら慌ただしく立ち上がってどう止めたものか思案する。

「ッ……上等じゃねぇか……こちとら仕事上がりでちょうどむしゃくしゃしてたんだ……」
「す、スピカ、」
「これまた奇遇だな。此方も新しいカスタマイズを試したいと思っていたところだ」
「ロックマン、」

当然こんな小さく狼狽える声が届くはずもなく諦めろとばかりにフォックスが肩に手を置いた。視線の端で巻き込みを避けるべく退散するメンバーの中にウルフを見かけた気がする……そんな殺生な……っ

「ふ、二人とも──」

黒の閃光の弾ける音にエネルギーの充填音。

「……す、」

ルーティは拳を握って声を上げる。

「ストップ──」
「──隊長ッ!」
「リーダー!」
 
 
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