キーメクスの審判
あんな風に。
泣いて。互いを確かめ合って。
……そんな二人を。
どうして、引き離すことが出来るだろう──
「……終わったな」
気付けば紺碧のカーテンは朝焼けに押しやられて肩身を狭そうにしていた。その頃になれば無限に湧いて出ていたスタルフォスもまるで糸が切れた人形かのようにばらばらと崩れ落ちて──戦闘に参加していたスピカは小さく息を吐き出す。
「全く」
その隣に立っていたのはロックマンである。
「こんなこと。二度とは御免だな」
「そりゃこっちの台詞だ」
正義と悪。
目的を違えた討つべき相手。
だけど。
「……ありがとよ」
今は。
「……どういたしまして」
今だけは。
「君にしては珍しいじゃないか」
「るっせ」
「明日は槍でも降りそうだ」
「二度と言うかよ」
「威勢が良くて結構。此方こそ。二度とこのような機会がないことを願うよ」
そんな二人の様子をルーティは少し離れた場所から見守っていた。目的が一緒なら──正義だの悪だのといった括りが無ければもっと仲良くなれたのかな──なんてことを考えながら。
「おい」
そんな空気に水を差したのはパートナーの声。
「双子はどうした」
え?
「……あっ」
そう言われてようやく辺りを見回してみたが確かにいつの間にかマスターとクレイジーの姿が見当たらなくなってしまっている。神様であるふたりに頼らないという選択を取ったこの一部始終を黙って見守っていてくれるような彼らではないと思っていたが──現状に呆れて亜空間に帰ったのだろうか。
「わ」
なんて考えていればポケットの中の携帯端末が振動するのでルーティは大袈裟に肩を跳ねた。こんな朝早くから誰だろうと画面に表示された着信相手の名前を確認してみれば"ピチカ"と表示されている。ルーティは小首を傾げながらも。
「……もしもし」
その着信に出てみる。
「……ピチカ?」
しゃくりあげる声が向こう側から聞こえる。
「大丈夫?」
「ぁ、……のねっ……おに、……おにぃ」
パートナーであるリムのことを一番気に掛けていたのは彼女だった。寝る間も惜しんで誰より寄り添いこんな朝早くから期待を胸に様子を確かめてみては不安に駆られていたのだろうか。
「り……りむ……が、……リムがねっ……」
ルーティは相槌を打ちながら耳を傾ける。
「思い、出したよっ……」
「……え?」
「みんなのこと……自分の……ことっ……」
目を開く。
「記憶っ……戻ったよ……っ!」