キーメクスの審判
スピカは鋭く睨み付ける。
「戯れ言をッ!」
「俺は嘘をつくのが苦手でね」
ロックマンは悠々とした態度で遮り、
「エイプリルフールの嘘はすぐにばれるんだ」
目を細めて笑いながら。
「そうだな。……今そこで地面に頭の先を擦り付けながら土下座をしてみっともなく命乞いをしてくれたらお前だけは助けてやってもいい。その時は──二度と光も届かないような冷たく暗い牢の中で一生飼い殺しにしてあげよう」
──何処までも何処までも何処までもッ!
「ふざけやがってッ!」
「おやおや。考え得る限り最もな好条件だろう? 曲がりなりにも命はあるのだから」
最もらしく提示しているようで結局のところ選択肢は一つでしかないのだ。スピカはぎりっと奥歯を噛み締めると威嚇するように音を立てて黒の閃光を体の表面に踊らせた。予想通りの反応にロックマンは満足げに笑顔で小首を傾げてみせる。
「……お気に召されたかな?」
これが。
怪物と呼ばずして何と呼ぶのか。
「隊長……っ」
嘘偽りのない純粋な正義──目の当たりにした掛け合いと光景に恐怖すら抱いている自分だって見放される寸刻前まで確かにその正義の側だったのだ。それがこちらの側についた途端彼らの考えが何ひとつ理解できない。分からない。
「な?」
ダークフォックスは苦笑気味に耳打ちする。
「キツいっしょ」
これが。……正義なの?
「っ!」
またも気配を察知したのだろうそれまで上体を起こすのでやっとだったダークファルコは弾かれるように振り返ると素早く銃を構えて発砲した。弾はシラヌイの構えた光線銃を弾いたが入れ違いに発砲したモウカの光線弾がダークファルコの髪を掠めて。
「我が儘が通る立ち場でもないだろうに」
続けざまダークフォックスも銃を構えたが先読んでいたかのように迫ってきていた電気の弾によって痺れさせられ手放す形となる。魔導書を片手に小さく息を吐く兄にルフレは顔を歪ませながら。
……やめて、と。
「交渉決裂ということでよろしいかな?」
「やってみろよ」
嫌。
「もう……やめて……っ」
純度など判断材料には成り得ない。
それが例えば御伽話のように。願えど祈れど。
叶うはずも届くはずも。
「兄さんっ!」
問答無用で放たれる黒の雷撃と。
青い光のエネルギー砲と。
押し合って。ぶつかり合って。
混じり合うはずも。分かり合えるはずも。
「!」
またも爆発が引き起こされる。
黒煙が立ち込める。
「……もう……やめようよ」
参じたのは希望の光か否か。
「こんなこと。……」