キーメクスの審判
無茶苦茶な言い掛かりというものである。
「そんなこと、……言われたって」
ディディーはぎょっとした。
「ユウ……俺が超能力を使う練習の中で怪我しそうになったら助けてくれたり……ちゃんと見てくれてた……それなのに、俺……おれ……っ」
ネスは肩を震わせながら。
「なんにも、返せてないのにっ……ユウがずっと目見えなくなったら……俺……やだよっ……!」
そうして感情のパラメータが頂点にまで達してしまったのかネスは遂にしゃくり上げながら泣き出してしまった。心配するリュカと、居た堪れなくなってディディーを叱るトゥーンとピチカ。
「おまえさあっ!」
「めっ!」
「いやだから違うんだって……!」
子ども達には申し訳ないが一連のやり取りは何処か微笑ましいものがあった。それと同時に確信を得たものもある。これ以上の被害を出さないことが最善なのだとしてもそれをそうだと認めたくない。欲を言えば行方知れずとなってしまった二者の元へ駆け付けて争いを止めて。元の状態に戻ってほしい──
「ヘリを借りて空から散策するか?」
「カオスエメラルドの力を使うという手も……」
皆が。考えてくれている。
「何とかしてあいつらの寮に入れりゃなぁ」
「司令塔は何かと厳しいからね……」
「僕たちX部隊なのに酷い扱いですぅ」
レッドは腕を組む。
「レイアーゼには居ないんじゃないかな……?」
「む。何故そう言い切れるのだ」
「逃げるには足が付きやすいからね」
「だがそうなるとあまりにも範囲が広すぎるぞ」
クッパの発言にファルコンが唸る。
「分からなくなってきたな……」
「この間にも移動してる可能性は高いデス」
ロボットが冷静に追い打ち。
「うぁーん!」
ローナは頭を抱えながら天井を仰いで嘆く。
「ぜんっぜん予測つかないよおー!」
予測。
「待って」
ルーティの一言に注目が集まった。
「もしかしたら……場所が分かるかもしれない」
そうして驚きの声が上がれば我に返ったようにあたふたと両手を挙げながら。
「き、協力してくれたらの話なんだけどっ」
誰もが何を指しているのやら分かっていない。
「ええと、……ウルフ」
ルーティはそれまで黙って一部始終を傍観しているだけだったその人に声を掛けた。
「ウルフェン出してもらえる?」
「なんだ遠いのか」
「ちょっと、……いや割と。すごく!」
「何処までだ」
ルーティは答える。
「森林都市──メヌエルまで」