キーメクスの審判
……刹那。
「、!」
不審な視線を感じ取ったリンクが背中の弓を咄嗟に構えて矢を放った。矢は狙い撃った先でいとも簡単に弾き落とされたかと思うと次いでお返しとばかりに黒色の雷が地面擦れ擦れを沙や小石を巻き上げながら突進してきて──けれど今度それはユウが双眸を金色に瞬かせると目には見えない防壁が防いで無効化。間髪を入れず事態に気付いたリオンが方向転換すると目にも留まらぬ速度で接近し攻撃を下したその相手に向かって拳を振り下ろせば。
「相変わらず分かりやすくて助かります」
爆発の際生じる黒煙との違いはせいぜい色くらいなものだろう──強烈な一撃を示す土埃に巻かれたその相手にリンクは言葉を投げかけるもまさか手応えまでは確信していない。
「……そっちこそ」
やがて土埃は突風と同時に払われる。
「相変わらず、暴力的で野蛮だなァ?」
ダークシャドウ──!
「ちょっかいの掛け甲斐があるってモンだぜ」
にやりと笑うダークリンクの横で先程のリオンの攻撃を暗く燃ゆる波導を纏った腕で受け止めていたのはダークルカリオだった。黒色の雷を放ったのはそのリーダーを務めるスピカかのように思われたが此方は宛てが外れたようでダークピチューが頬に黒の閃光を繰り返し迸らせている。
リオンはそのまま押し切るべく踏み込んだが視線を感じ取ったのか地面を軽く蹴って後退、ユウの横に並んだ。その頃にはリムとドンキーも魔物を片して集合しており、両者は一定の距離を保ちながら対峙するような姿勢となる。
「やはり、あなた達の仕業でしたか」
ダークリンクはほくそ笑む。
「どぉだかね」
その答えに。
リオンは違和感を覚える。
「どうすんのよ」
ダークピチューが苛立ちを込めて訊ねた。
「こっちも豚野郎ナシじゃ災厄の目を欺くのはちとキツいぜぇ?」
ダークルカリオが苦笑を混じらせて言う。
成る程相手は三人だけらしい。戦況的に此方が有利かとリンクは思案を巡らせていたが。
「決まってンだろ?」