キーメクスの審判
……この人は。
ただ当たり前のことを素直な気持ちで。
なのに。
どうして私たちは。
上手くいかないんだろう──
「あ……言っとくけど全員が全員同じこと思ってるワケじゃないっスよ」
「それくらい分かってるわよ」
「うちの連中ご存知の通り気性が荒いんで」
ルフレは膝を抱え直す。
「それで今回の事件を引き起こしたの?」
「……へっ?」
ダークフォックスは目を丸くした後で、
「いやいや! あれ違うから!」
「え?」
「俺らもマスター様とクレイジー様に命令されて、事件の犯人追ってる真っ只中なんスよ!」
声は上げなかった自分を褒めてほしい。
なんて。……切に思う。
「命令されて、って」
「俺らもワケ分かんないんスよ! でも急を要するんだとか何とかでとりあえず犯人とっ捕まえて突き出せとか言って……もう一週間っスよ!?」
どうも彼らは自分たちが気付く前から頑張っているらしい。ルフレは驚きのあまりただ目を丸くする。
「それで……何か、手掛かりは……?」
恐る恐る訊ねるルフレにダークフォックスは胡座をかいて座り直したかと思うと腕を組みながら。
「現段階で分かってる情報だと犯人は複数いる可能性が高いっスね。そんでもってムチャクチャな力を持っている説が濃厚っス……動機までは割れてないっスけどただの悪戯にも見えないから、何か大きな目的があるんじゃないかとか何とか」
ルフレは眉を寄せる。
「ちょっとそれ……思っていた以上に大事なんじゃ……なんでマスターハンドもクレイジーハンドも私たちに何も言わないのよ!?」
「ちょちょちょ、るぅちゃん落ち着──」
「誰が"るぅちゃん"よっ!」
頭の上に生えた大きな耳ではそれが響くのかダークフォックスは縮こまっていたが。
「だってスマッシュブラザーズは特別なんスよ? 他と違って替えが利かないとか何とかって」
ルフレは唖然とする。
「その点俺らは単なる人型兵器であって、作り直す手間はあっても結局は幾らでも替えが利くからその違いなんじゃないっスかね──」
そんな理由が。
神様都合で
「協力しましょう!」
手を取られたダークフォックスはきょとんとする。
「情報を共有して事件を解決に導くの!」
「は、……え……」
「分かったら返事っ!」
こういう時。
女の子という生き物のなんと強いものか。
「……はい……」