キーメクスの審判




この世界にはルールがある。

設定がある。


まさか、過去も未来も現在も全てが決められているという訳ではなくて。この世界の神様が監視対象に置いているキャラクターを主軸に置いて物語が進行するように設けられているものなんだって。

よく分からないけどね。


何も知らず存ぜず関わらずで平々凡々に日々を過ごしているのが灰色の人たち。僕たちは色とりどり、目に見えて鮮やかな色の付いている方。

嫌だな、あくまで物の例えだよ。


ある程度は決まっているのだとしても微塵も融通が利かないわけじゃない。そうでなきゃ神様の意向が気に食わないって理由だけで猛獣顔負けの正義の団体様がこんなにも敵意を示して抵抗するはずもない訳で。というか──マスターとクレイジーはあれでいいのかな? まぁ、そこを突き詰め始めたらやれこの世界がどうとか物語がどうとかってやたら熱弁しだすから別にいいんだろうけど。

……こほん。とにかくね。

僕たちみたいな"キャラクター"基スマッシュブラザーズを脅かす存在というものは敵対している亜空軍以外には基本的には有り得ないらしくて。僕たちがどれだけ頑張っても対処出来ない上にこの世界に影響を及ぼすレベルの強い存在が現れたり──そうでなくても神様にとっての予測の範囲外で設定に背くような行動を起こして色々と混乱を招くようなら少しは何とかしてくれるみたいだけど。


ちょっとよく分からないよね。

そういう難しいことは彼らに丸投げしててもいいんだってこればっかりは満場一致で皆が納得してる。


でも。こう思うのは僕だけじゃないと思う。


何処からがそういう対象なのかな?……


「気にしなくていいんだよ」

声が響いて。

「そういうのは僕たちの"仕事"なんだから」

文字の羅列がぱらぱらと崩れ落ちる。

「本当。油断も隙もないんだから」

呆れたように息を吐く。

「クレイジー」

兄の声。

「何をぶつくさと話しているんだ」
「兄さんも仕事してよ」
「出来の良い弟を持つと手持ち無沙汰でな」
「よく言うよ」

わざとらしく溜め息。

「……ま。別にいいけどさ」
 
 
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