僕らは甘やかし隊!
──リビング。
「ユウの浮気者ぉっ!」
情けない声が響き渡る。
「重婚するだけでなく二度も三度も孕ませて!」
「貴様はもう少し言い方を考えろ」
嘆くリオンに呆れた様子で眉を寄せるユウ。
「やはりこういうのも未来予知で?」
「くだらんことにこの眼は使わんと言っている」
「先あがったからって余裕なやっちゃな」
「頭の出来が違うんです」
「お。ゆうたな?」
キラキラした眩しいばかりのエフェクトを背景に散りばめながら爽やかな笑みでさらりと煽りを述べるリンクにドンキーはひと睨み。
「たまにやると面白いわねぇ」
そんな二人を差し置いてリムは手を伸ばす。
「人生ゲーム」
陰では"保護者組"だなんて称されている五人はリビングで冷房に涼みながらそれぞれ冷たい飲み物を傍らに人生ゲームを楽しんでいた。
何せ子ども達がどうしても自分らを甘やしたいとのことで絶賛フリー状態……炊事洗濯家事掃除の全てを気にせず遊び呆けることができるなんてなかなか無い機会である。それでもまあご指名で依頼や任務が入ってしまえば話は別になってしまうのだがこうなれば今日という日は何処にも出掛けたくない。
「あっ、やば」
自分の駒をサイコロに従い動かしたところでリムは声を洩らして苦そうな顔をする。
「借金しちゃった」
「まだええやん。これからやろ?」
ドンキーは肩を竦めながら。
「俺なんか嫁に逃げられて一文なしやで」
「恋愛面動きがあるだけ幸せですね」
「るっさい! 生涯孤独で幕を閉じた癖にっ」
リオンはサイコロを振る。
「む。結婚し損ねてしまったな……」
出た数字に従い駒を動かした先の升目の内容に顎に手を添えながらふぅむ、と一息。
「……ふん」
「なんでちょっと嬉しそうなのよ」
「か、勘違いするな」
リムのツッコミにユウが顔を背けていると。
「兄ちゃん!」
最も実際はそれぞれがそれぞれを担当している保護者役の名前を呼んでいたのだが他四人より遥かに大きな声でディディーが呼ぶので掻き消されたのだ。ドンキーは「おわっ」と声を上げる。
「なんやもう終わったんかいな」
「ご苦労さまです」
リンクはにこやかに笑いかける。
「冷たい麦茶を用意していますからどうぞ」
「えーっ、俺ジュースの方が」
「そうじゃないだろっ」
ディディーがトゥーンを肘で小突く。
「……兄ちゃん」
すると子ども達はそれぞれ自分の面倒を見てくれている保護者役の五人の目の前へ。
「なんやなんや?」
「ちょっと目ぇ瞑って」
ドンキーはきょとんとして疑問符を浮かべる。
「いーから!」
押されるがまま。
五人が要求に応じて目を瞑ってみると。