病めど病まれど
亜空間。この場所には昼も夜も存在しない。
笑いかける太陽も。優しく見守る月も。
恵みも希望も。
「、あは」
引き摺る肉塊が赤い絨毯を敷いていく。
足りない。足りない。
もっともっとぐちゃぐちゃにしてやらないと。
「おい」
呼び止める声に振り向けば。
皆が揃って慕う、──あの人の姿。
「ピット」
「……なぁに」
紅く濁った双眸が三日月に歪んで嗤う。
「……混ざりたい?」
変わらず肉塊を引き摺りながら。
ゆっくりと距離を詰める。
「それとも」
こんな日は全てが赤々と映り込む。
「コレクションになりたい……?」
「床が汚れる」
手刀。
「ゔぇぇ……?」
ダークピットは間抜けな声を出した。
「持って帰るのはいいけど掃除忘れんなよ」
スピカは溜め息を吐き出して。
「いいな?」
「……はぁい」
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