夏バテですか?
……なるほど、ね。
「いやに励んでらっしゃいますね」
縁に腕を掛けて窓辺から静かに中庭を見下ろすマルスに声をかけたのはリンクだった。
それというのも。一体どういった理由か視線の先中庭では現在進行形でラフな衣装に着替えたカービィが大きく腕を振って至極真面目にランニングをしていたのである。
「コスプレのイベントが近いんじゃねーか?」
ロイが口を挟んだ。
「減量も何も。彼は充分細いですよ」
「大食い競争とかじゃないのか」
それなら納得がいきそうなものだがそれにしては同じ食いしん坊仲間のヨッシーは特になにも気にかけていなかった。寧ろ今回に限ってそこまで準備を整えておく必要など大食い百戦錬磨と言っても過言でない彼にあるのだろうか。
「あのー」
居心地悪そうに声を上げたのは。
「ここ、ボク達の部屋なんだけど」
「何か問題があるのか」
「ありますとも。天使だって寝るんですよ」
唇を尖らせて言うピットにロイはにやりと。
「それなら」
おおっとロイ選手、先行して第一球、
「当たるかっ!」
「ぶほっ」
残念、枕は主人の元へ。
「お前なあっ盾は卑怯だろ!」
「ボクは寝たいの!」
その様子にリンクはくすくすと笑って。
「元気なお子さまの為にもそろそろ退散するとしましょうか」
「子どもじゃない!」