大人になりたい!
「おはよ、皆」
――次の日の朝。
「っる……」
食堂に現れたルーティを見て、居合わせた全員が驚いた。
「ルーティ!?」
彼のいつもの衣装を覚えているだろうか。
黒のシャツとストッキングの上から半袖に下方はハーフの黄色のツナギを着込むというのが彼のスタイルなのだが、今日は違った。至って青年らしい、普通の衣装を身に纏っているのだ。それが、それがどうしたでは済まされない。
「好きな人ができたのか!?」
真っ先にそう詰め寄ってきたフォックスに、
「そういうのじゃない」
冷静に、さらりと返すルーティ。
――雰囲気が違う。何というか大人びているのだ。普段はまん丸とした目も今日ばかりは勇ましく、吊り目に寄っている、かのように窺える。
「……今日、同じ任務だっけ」
ルーティは踏み出し、すれ違い様に。
「足、引っ張らないでね」
誰だこいつ。
「ま、手は貸すよ。それをカバーするのがリーダーだから」
あっさりげなくフォローされた。
「ふわぁ……おにぃってばイケメン!」
「なんていうか、大人だねぇ?」
ピチカとローナは口々に、ルーティの背中を見つめた。