僕らの正義
フォックスはにこりと笑った。
「ウルフから話を聞いたよ」
目を丸くした。なんだ、あれで気にしてたのか。
「……詫びに来たってなら帰れよ。確かに、あの時のあれは激情にかられた俺にも落ち度があったけど、それでもあいつやお前と仲良くするつもりなんか」
「ああいや。そっちじゃないんだ」
スピカは疑問符を浮かべる。
「じゃあ何だよ」
ほんの少しの間を置いてフォックスは口を開いた。
「スピカは」
人を殺したことはあるか?
「……まあ」
拍子抜けするような質問だった。
己の正義を貫くためなら避けられない選択だったから。
「そっか」
「だから何、」
「じゃあ」
フォックスは続けて口を開く。
「死体を抱いたことは?」