僕らの正義
「孤児院から引き取った身寄りのない子供たちを金持ち相手に売春を強要させて、手にしたお金は寄付するでもなく豪遊して使い果たす」
ダークファルコはぴらりと人差し指と中指に挟んだ依頼届を見せつけた。
「すみませんねぇ、詳しくお伝えしていなくて」
ルーティは愕然とした。
「事情を知ればころっと意見が変わる。分かりましたか?」
ダークファルコは笑みを崩さない。
「自分たちがどれだけの悪を見過ごしてしまっているのか」
濁りきった瞳には二度と光を宿さない。
ぼうっと虚空を見つめて座り込む子供たちは。
全てを、諦めてしまったかのようで。
「ぁ」
銃声と同時に鮮血が上がった。
そう。まだ息のある子供の内一人をダークウルフが撃ち殺したのだ。
「なにしてっ」
「分かりませんか?」
二発目の銃声。
「こうなったら最後彼らは表世界では生きられない。信じてきた光に裏切られ闇に捕らわれ汚されて、それで誰を信じ、誰が助けるんです?」
言葉もない。
「全ての人間を救い、生かしたいなんてよく出来たエゴですよ。この現状を見ても尚それが言えるのはそれは人の形をした鬼です」
ダークロイとダークマルスが剣を交差させてルーティの行く手を阻んだ。
「よく焼き付けておいてください」
幼い子供の額に銃口が向けられる。
「貴方たちがそうして取りこぼした悪を払うのが俺たち“人殺し”であり」
銃声。
「その正体こそ。他ならぬ、あの人であるということを」