スマ学200のお題
99.雨
今日は十一月十四日。実に六十八年ぶりとなる満月が惑星フレイアムに大接近する日である。通称スーパームーンと呼ばれる今日の満月は流れ星と同じく願いが叶う効果があるのだとか何とか。
その効果とやらに肖り己の恋路が上手くいきますように、なんて。
想いを馳せようと思っていたのに。
「……、」
雨。
「パックマン知ってるよ。こういう特別な日に限って雨が降るんだって」
じとっとした表情で昇降口から雨空を見上げるのはパックマンである。
「意地の悪い神様にはうんざりだよ」
「催し事でも何でもない何十年に一度の行事の為に雨乞いをするような物好きな連中がいるとでも?」
放課後。生徒会会長としての仕事をようやく終えたロックマンはその隣に並んで傘を取り出す。
「そうじゃなくてタイミングが悪いって話をしてるんだよ。別に雨だけなら明日でもよかったはずだろ」
といった具合にぶつくさと。
実際流れ星なんて滅多に見られるものじゃないしそれと同じ効果が今回見られるはずだった満月にあったなら。
晴れてくれたって。
「パック」
肩を跳ねて顔を上げる。
「は……」
「今日が特別な日だったのなら、ただの雨だって少しは特別だろう」
そう言って。ロックマンは雨の中で傘を差して振り向く。
「隣。……入るかい?」
あぐぁああぁ……
「そういうの狡いんじゃないの……」
「はは。そうかな」
二人寄り添って傘の下。
ざまあみろ神様。……なんてね。