スマ学200のお題
94.王道
二月十二日。
「ローナ!」
「なんだい?」
「今日はにぃにの日だよ!」
……。
「それはまたどういう理屈だね……」
「想像力が足りないなぁ」
二月といえば節分にバレンタインデーといった王道行事に語呂合わせで猫の日や笑顔の日など。それは分かるとしてもピチカの言う“にぃにの日”というのがまた意味がよく分からない。
「だって今日は二月十二日でしょ?」
かと思えばピチカは得意げに。
「に、いち、にでにぃにの日だよ!」
「意義あり!」
ただで終わらせないのがローナである。
「弁護人は意義を申し立てます!」
「だ、誰の弁護してるの……」
「当学園生徒、いや全レイアーゼ国民の弁護だよ!」
ローナは勢いよく指をさす。
「大体どうしてピチカは大きなお友達御用達の王道妹キャラでありながら定番の“お兄ちゃん”呼びじゃないんだ!」
「えっそこなの!?」
ピチカは人差し指と人差し指を合わせて捏ねくり回しながら。
「あう、ぅ……ええっと……」
気恥ずかしそうに視線を上げて。
「……だめかなぁ?」
上目遣い。
「王道って強いよね……何でも許されるんだもん……」
そのまさしく王道といった破壊力に見事敗北を余儀なくされたローナ。
「僕もボーイッシュガール路線もう少し攻めればよかったー!」
「い、今のままでも充分可愛いよ!」
「ぐああああっ!」
王道は強い。