スマ学200のお題


91.ニーハイ



「あれ」

シュルクは素っ頓狂な声を上げる。

「それどうしたの?」


十一月二十八日。


「知らないの?」

ルフレはきょとんとして。

「今日はいいニーハイの日じゃない」

ああ、語呂合わせ。近頃は何処にでも出没するものだなとシュルクは感心した。確かに見渡せば女子は全員このイベントに肖ってニーハイを穿いている。恐らく他のクラスもそうなのだろう、女子は相変わらずイベント事に目がないな……

「お前って本当こういうイベントに興味ないよな」

半ば呆れた様子でパックマンが呟く。

「そんなこともありませんよね?」

意味深に笑みを含んだパルテナが焦らすようにスカートの裾を――

「トイレ行ってきます!」

教室を飛び出すシュルクにあらあらと。

「若いですねぇ」
「いや、学生だけどね。設定上」


全くもう油断も隙もあられもない……

「シュルク」

不意にばったりと。立ち寄ったトイレの入り口でマークと出会した。

「どうかしたのかい?」
「あはは……ちょっとね」
「……明日はいい肉の日だよ」

明日もあるのか語呂合わせ。

「シュルクはニーハイは好きじゃないのかい?」

突拍子もない。

「そういうことじゃないけど……」
「じゃあこっちに来て」


え?


「うわっ、ちょ」

シュルクはマークに腕を引かれるがままトイレの個室の中へ。

「ま、マーク、もうすぐ授業が」

言いかけて言葉を失った。ベルトを外し始めるマーク。いやいやちょっと待てと心の内で騒いでいる間、彼がほんの少しズボンを下にずらした時窺えた。

「……あ」


黒の。


「それだけ、だよ」

マークはズボンを引き上げるとベルトを締めながら足早に退散。残されたシュルクは片手で口を覆い隠しながら。

うん。確かにいいニーハイの日だなぁ。
 
 
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