スマ学200のお題
86.鼻唄
「……何をしているんですか?」
生徒会室前。完全な不意打ちでルキナに後ろから声をかけられぎくっと大袈裟に肩を跳ねたのはマークだった。
「し……しー!」
苦虫を噛み潰したような顔で振り向いて人差し指を立てる姿に疑問符。
と。生徒会室の中から何やら声が……
「まさか」
ルキナは途端に険しい顔つきとなって、
「風紀を乱す事態がこの中で」
「いや違う。ロックが歌ってるんだよ」
……生徒会長が?
試しに隙間から覗き込んでみると確かに中ではロックマンが作業をしながら鼻唄を歌っている。無音の部屋の中でついつい口ずさんでしまう気持ちは分からなくもないがそれにしてもこの鼻唄は……
「なんでしょうか、これ」
「うん。僕も何処かで聞いたことがあるんだけどそれが思い出せなくて」
ロックマンも恐らくは有線で聞いたか何か詳しくは知らないようで鼻唄も同じ一小節を繰り返している。
「思い出せないな……」
「少し前にやっていたドラマの主題歌に使われていたような気がします……」
眉を寄せて悩むその間にもロックマンは気付かず鼻唄を口ずさんで。
確か……最近売れ出したアイドルの……
「Soul Night Blendの『star』」
「それだ!」
「それです!」
いつの間にいたのやらハルが答えたのと同時、思わず声を揃えて。
絡まっていた糸が解けたかのよう。生徒会室の外ではしゃぐマークとルキナに今更気付いたロックマンは作業の手を止めると激しく打つ胸に手を置いてぽつり。
「びっくりした……」