スマ学200のお題
85.妹
九月六日。今日は妹の日である。
「なんで?」
……。
「なんで九月六日が妹の日なの?」
廊下を並んで歩きながらローナに訊ねるのはピチカである。
「聞くだけ野暮だよ」
「どうして?」
「歌にあるじゃないか。何気ない今日という日が僕らの記念日だって」
「うーん、それはちょっと違うような」
ピチカが苦笑いを浮かべていると。
「……おっ」
「あっルフレさんだ!」
本人はビクッと肩を跳ねさせた。
「なにしてるの?」
恐る恐る振り返ったルフレはどうやら今までそわそわしながら角から生徒会室のプレートを覗いていたようなのだ。
「別に……何でも……」
「ははぁん。兄と喧嘩したって顔だね」
途端ルフレはぎくりと体を強張らせた。
「ええーっ分かるの!?」
「同じ妹側の気持ちくらいお見通しさ」
「しょっちゅう怒らせてるような貴女と一緒にしないで」
ばっさりと。
「それで謝りに来たの?」
落ち込むローナを差し置いて。
「しっ仕方ないでしょ……後で考えてみたら私の方が悪かったんだから」
そうこう話している間に生徒会室の戸がガラッと開いた。会長のロックマン、会計のルキナに続き副会長であるルフレの兄マークが出てきて。
「兄さんっ」
そう呼んだがちらりと一瞥くれただけ。彼にしては珍しく無視である。
「あっ」
最後に出てきた書記のハルが疑問符。
「ちょっと、待っ、」
ルフレは息を吸い込んで、
「お兄ちゃんってば!」
お兄ちゃん。
「ぶっ」
兄マーク、憤死。
「え、ちょっ兄さん!?」
「僕も今度使ってみようかなぁ」
「それはお兄ちゃんが死んじゃうんじゃないかな……」
妹強し。