スマ学200のお題


83.無自覚



他の誰かと居る場面をひと目しただけで胸がきゅっと締まる。

今までこんなことはなかったのに。


胸の内で渦巻くこの感情はなんだろう。


「夏バテかな」


……。

「やっぱりそうなのかな……」

ここはすま組の教室。

「最近多いからね」

授業明けの休み時間わざわざ訪れて相談を持ちかけるのはマークだった。向かい合って話すのはレッド。変わった組み合わせかもしれないが意外にもこの二人、共通点が多く仲がいいのだ。

「生徒会も頑張ってるみたいだし無理は禁物だよ」
「うん、ありがとうレッド!」


……次の日。


「レッドはマークと仲いいの?」

借りていた本を返しにきたついで。本を差し出しながらさりげなくそんな質問を飛ばしたのはシュルクだった。

「えっ」

きょとんとしてレッドが返すとシュルクは反射的に顔を背けた。加えて何やら気まずそうに目も合わせないその様子から察するに。明らかにこれは。

「もしかしてシュルク、」
「違っ」
「夏バテ?」


……。


「水分補給ちゃんとしてる?」
「……してないかも」
「駄目だよ。この時期は予防対策に水筒も持参しなきゃ」

シュルクは頭を掻きながら。

「そ、そうだね。気をつけるよ……」
「夏バテは怖いからね」
「ありが」
「っじゃねえよ!」

叫んだのはネロだった。

「夏バテなわけないだろどう考えたって惚気じゃねえか! 毎度毎度天使のツラしてなにフラグへし折ってんだ!」
「疲れてるの?」
「ああぁああもう!」


無自覚って。
 
 
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