スマ学200のお題


79.携帯



今や誰も手放すことが出来なくなっているであろう生活必需品――携帯電話。

開発当初と比べれば様々な機能が搭載されており、携帯電話ひとつあればパソコンとそう変わらないことを数こなせる。けれど便利なだけに問題も多い。


……此処はダー組の教室。


「ダークフォックス!」

ぴしゃりと叱りつけるマリオに肩を跳ねたのはその呼ばれた本人だった。

「授業中に携帯を弄るな!」
「調べ事してんすけど」
「……何のだ」
「どうすれば男でも妊娠するのか」

保健の授業だからって何てもの調べてるんだ!

「こいつは没収――」

言いかけて、視界の端。机の下。

「何をしているんだダークルカリオ」

腕を組んで目を据えると呼ばれた本人は溜め息混じりに視線を返して。

「……ただのメールだけど?」
「授業中に携帯を――」
「はひっ」


沈黙。


「デカい声出してんじゃねーよ豚ァ」
「あはぁ……今の、凄く良かったよルカリオ様……」

見ればダークミュウツーが頬を染めて意味深に息を弾ませている。

「うっ」

かと思えば今度はダークウルフの呻き声。

「何をしている」
「番長が」

携帯を握り締めて悶えながら。

「一方的なメッセージに既読だけ残すのが可愛くて……!」

幸せそうで何より。……じゃなくて。

「授業中に携帯を使うなああぁあッ!」


後日、授業開始前に携帯が回収されるようになったのは言うまでもない。
 
 
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