スマ学200のお題


78.密着



季節の移り目、衣替えの季節。

「ユウ!」

此処はすま組の教室。

「遂に半袖にジョブチェンジしたのだな!」

……朝からご苦労な事で。教室に入るなりユウの姿を見つけるとリオンは猛獣の如くユウに飛びついた。対するユウの反応はというと……最近では突き放すのも億劫なのか、そこに無いものかのように通学鞄から取り出した教科書やノートを普段と何ら変わらぬ顔で机の下に移している。いや、もしくは満更でも――

「鬱陶しい」

あっ引き剥がした。

「リオンも飽きないね」

その一部始終を眺めていたマルスは苦笑いを浮かべて。

「暑くないのかい?」
「そうそう」

机の上に腰を下ろし足をぶらぶらとさせながら、カービィ。

「冬なら未だしもこれからの季節、暑苦しいじゃん」

リオンの犬耳がぴくんと跳ねた。

「……否」

ずいと身を乗り出して、

「そんなことはない!」


……辺りがしんと静まり返った。


「二人共。好きな人を思い浮かべてほしい」

マルスとカービィはちらりと視線を交わして頭の中に想像する。

「冬にその人が凍えていたら?」
「……抱き締める」

そりゃあ暖めてあげたいし。

「ならば」

リオンは真剣な顔つきで。

「夏にその人が薄着だったら……?」


黒の背景に落雷が駆けた。


「あーなるほどね」
「リオンの気持ち分かった気がするよ」
「そうか! 分かってくれるか!」
「ぶえっくしょん!」

ロイは身震いをして疑問符。

「貴様も苦労人だな」
「……へ?」
 
 
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