スマ学200のお題


77.ドライ



六月一日。これが普通の人なら――ああこれから梅雨が始まるのか、この月を越えたら七夕と海開き、本格的な夏がやって来るな……なんて思うところだが。

分かる人には分かるはず。……今日は。


「はい」

休み時間。授業をようやく終えて気怠そうに伏せていたところ、机の上に何か置かれたのを視界の端で捉えてロイは頭を上げる。

「おめでと」

赤のリボンがアクセントの。水玉模様の小包を置いたのはカービィだった。

「……どうしたんだよ」
「だって今日はロイの日じゃん」

ロイは怪訝そうに眉を寄せる。

「知らなかったの?」

六月一日。

「語呂合わせ」

言われた通りに頭の中で唱えてみると。ああ成る程。六と一、ロイ。

「何じゃそりゃ」

ロイは苦笑を浮かべて頬杖をつく。

「いらないなら貰わなくていいんだよ」
「そんなこと言ってないだろ」
「反応がドライすぎなの。もう少し喜んだら?」
「……あのなぁ」

小さく息をついて。

「お前さ。今日がカービィの日だからこれあげるーって言われたらどうする?」
「……意味分かんないけどとりあえず貰っとく」
「それだよそれ。これが誕生日ならもう少し喜ぶけどさ」

確かに納得はしたものの。

「ドライ過ぎでしょ」
「ネタにされる割に報われないからなー」
「メタ発言すんな」 
 
 
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