スマ学200のお題


74.守備範囲



皆さんはフェイスノートなるものをご存知だろうか?……えっ名前が違う? 

名前に誤りはないはずだが。ともかくフェイスノートとはかの有名な某呟きサイトに続いて若者たちが好んで使用している、インターネット上のソーシャル・ネットワーキング・サービスのことである。


使い勝手はもちろんのこと評価も高いのだが。

よくよく指摘される問題がひとつ。


「なんで『いいね!』ボタンしかないんかなぁ」

携帯を片手に呟くのはドンキーである。

「どうしたんだ?」
「フェイスノートって知っとる?」

ソニックが怪訝そうに視線を返すと、

「SNSっちゅーやつや」
「俺、携帯打つより直接走っていって伝える方が早いからなぁ」
「どういうことやねん」

ドンキーは携帯に視線を戻す。

「ともかく。そこんサイトの『いいね!』ボタンゆうのが厄介なんや」
「なんで厄介なんだ?」
「やってそれしかボタンないんやで? 暗い投稿なんかどないせえっちゅうの」

確かに。自身を責める投稿に対して当然のことコメントはしづらいし、かといってボタンに頼れば投稿者曰く何が『いいね!』なんだか。

「スルーしたらしたでぶつくさゆうんもおるしほんま腹立つ」
「『いいね!』すればよいではないか」


……え?


「実際萌える!」

身を乗り出して訴えるのはリオンである。

「ち、ちょっと待って相手落ち込んどるんやぞ」
「だからそれが萌えるのではないか!」

リオンはとびきりの笑顔で勢いよく親指を立てる。

「俗に言う可哀想萌え!」 
「お前それ友達失くすで」

守備範囲の広い男、リオン(現在のフォロワー数はゼロ)。
 
 
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