スマ学200のお題
67.タイム
此処は学園の校舎裏。
度々生徒たちの秘め事に使われる息色づく場所。
「ほ、本当にすんのか……?」
壁際に追い詰められたスピカは普段の態度からは似ても似つかない、不安と羞恥の入り混じる瞳で目の前の少年を見上げた。
「言ったのはスピカだよ?」
とん、とその横に手を付いて逃げ場を無くしながら、少年ルーティは煽る。
「人が来たらどうすん」
言いかけて。
「ぁ」
首筋に顔を埋められると声を無くした。
「……やめとく?」
口元に笑みを浮かべて唇を滑らせ耳たぶに口を付ける。
無意識の内に生唾を呑み込んだ。
「はい、木の上の二名と木陰の一名それに茂みの四名出てきてくださーい」
棒読み気味にルーティが言うと直ぐ後ろの木から「わあっ!」と声を上げて何故かフォックスが降ってきた。不意を突かれ、驚いてしまったらしい。
「……おいウルフ。分かってんだからな」
スピカがそう言って遥か頭上を見上げて睨むと、屋上から一部始終を見守っていたダークウルフがぎくりと肩を跳ねて。
「おのこの睦言を見逃さない手はないで御座る!」
「やはり分かっているなミカゲ殿!」
「生徒会長として風紀を乱す行為は見逃せないからな」
「あんたさっきまでガン見してたじゃん」
「番長ぉお! 見逃すなんて無理ですうぅう!」
わいわい。がやがや。
「初めの一人が来たのは」
「……二秒だね」
密かに時間を計っていた二人はストップウォッチを共に覗き込み、溜め息。