スマ学200のお題
65.簡略
「あけましておめでとうございます!」
早朝の校門に響き渡る生徒の声。
此方の世界も無事、新たな年を迎えました。
「生徒会って大変なんだね……」
ルーティは感心したように言った。吐く息も白い寒空の下、それを誰よりも早く朝から賀正の襷を掛け、生徒会一同肩を並べて。
「そうでもないさ」
会長のロックマンは笑った。
「今年一年、全校生徒に何不自由なく健康的で楽しい学校生活を過ごしてもらえるよう言葉に想いを込める……言霊の力とは人が思うより偉大なものだよ」
ぎゅ、と手を握って。
「冷たい風など何てことはない。去年と変わりない平和な勉学を望むだけさ」
「つめたっ!?」
手袋も無しによくここまでやれるなぁ。……ロボットだからいいのか。
「よお、ルー」
ルーティが振り返るとそこにはスピカとダークウルフの姿が。
「あけましておめでとう。今年もよろしくな」
「こちらこそ。あけましておめでとう……あまりやんちゃしたら駄目だよ?」
「分かってるって」
……視線。気付いたスピカが首を傾けてルーティの前から覗いた。
「……よっす。朝からどうも」
するとロックマン、にこりと笑って。
「あけおめ」
……それだけ!?
ルーティは数分前の発言を思い返す。言霊が、云々かんぬん。
「今年も仲良くできそうもないな」
頬に青筋を浮かべるスピカの傍でダークウルフがぽつりと呟いた。