スマ学200のお題
63.トリトリ
ハロウィンといえば本来は秋の収穫を祝い、悪霊などを追い出す宗教的な意味合いのある西洋の行事。今では祝祭本来の宗教的な意味合いは殆どなくなっており、現代に流通しているハロウィンといえば仮装して。
「トリックオアトリート!」
……とまあ、こんな具合にお菓子くれなきゃ悪戯するぞ、なんて脅かして回るまさに変態御用達の十月のメインイベントとなっている。
「この学校も甘いよねえ、バレンタインは規制する癖に」
猫耳カチューシャを被せたカービィはロリポップを片手にご機嫌。
「先生達も楽しんでるってことじゃね?」
言いながら、ロイが机の上に広げられた菓子の数々に手を伸ばせば手刀。
「んだよ、ケチ」
机の上に乗っかったカービィは足をぶらぶら。
「Trick but Treat」
びくっと肩を跳ねて顔を上げると、そこにはマルスの姿が。
「……あっ」
ロイは咄嗟にカービィの稼いだお菓子を奪って差し出す。
「ほらよ」
マルスはにこりと笑って受け取った。
「ありがとう」
勝手に取るなとばかりにカービィが拳を軽く振り上げる。
「それじゃまた後で」
「お、おー」
ロイはカービィの拳を防御しつつ返して。
「……どうしたの、ソニック?」
気のせいか顔が引き攣って窺える彼に気になって声をかけたのはピット。
「い、いや……」
――今のマルスの発言。
あれが“お菓子くれても悪戯する”という意味だとは今更言いづらい。