スマ学200のお題


61.ショートケーキ



二十二日。

だからどうなのだと返されてしまいそうだが、カレンダーを見てほしい。二十二日の上には十五日。漢数字では伝わりにくいだろうが一と五、語呂合わせでイチゴ、苺がカレンダーで見て二十二日の上にくるから今日はショートケーキの日。

「まさか食堂にショートケーキがあったなんてな……」

スピカは感心した。もちろんこれも今日がその日だからこその限定メニュー。

「それ最後のケーキなんだって」
「別にあっても無くてもよかったけどな」

教えたのはルーティだった。限定メニューがショートケーキ、それも学生の財布に優しく格安。前情報無くしては手に入らなかっただろう。

「……ところで」

ルーティはにっこり。

「それ食べないの?」

人差し指を向けられたのは苺だった。

これまで除けて食べていたのはもちろん、最後に頂くためである。甘味にたっぷり満たされた口内を苺特有の甘酸っぱさで締めるのは心がキュンと跳ねて格別――

「いらないなら貰うね」

ひょいと拐われて。

「なっ」

無情にもルーティの口の中へ。

「いらないなんて言ってないだろ!」

フォークを持った拳で机をドンッと叩くがルーティは素知らぬ顔。

「おい聞いて、」


ちゅぅ。


戦慄と甘酸っぱさと困惑と。

「……じゃあ返すね?」

まさかの口移し。

「死ね! 氏ねじゃなくて死ね!」 


――オチ無しの甘い昼休み。
 
 
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