スマ学200のお題


6.避難訓練



「皆ー! 火事だよー!」

校内放送のこの声、クレイジーである。

「家庭科室が燃えてるんだってさぁ。ふふ、これって避難訓練するしかないよねぇ」
「……緊張感」

小声で呆れ気味に突っ込むのはマスター。

「うちの教頭は通常運転だなー」
「大問題だけどね」

避難訓練。

ガノンドロフの指示通り、一列になって廊下に並ぶ。ハンカチを口元に添えて、押さず、走らず、喋らずにグラウンドへ……

「はいストップ」

廊下で待機していた保健医のマリオが呼び止めたのは、言わずもがなリオンである。

「誰が両手を縄で後ろで縛って、口にガムテープを貼って避難しろと言った?」

言いながらガムテープを引き剥がす。

「はうっ!」
「変な声出すな。“おはし”を守れ」

押さない。走らない。喋らない。

「押し倒されるまで、はしたない格好で、静かに待機……そうか。脱ぐのを忘れて」
「おい誰か救急車」
 
 
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