スマ学200のお題
58.誘発
「……諸君」
ここは、すま組の教室。
「今日は何の日だと思う」
「大体読めたわ」
彼、リオンが何を目的として質問を投げかけるのか。
ひと足早く察したドンキーは、言って近くにいたディディーの手首を掴んで無理矢理に引き、自分の後ろに素早く追いやった。その行動から事態を察したのだろう、リムはそれまで共に話していたピチカの肩を押すとリオンとの距離を離して。
「ふえっ? 今日って――」
「駄目よピチカ!」
きょとんとして返そうとしたところに、リムはすかさずピチカの口を塞いで阻止。
「むぐぐっ」
「何を騒いでいる」
と、ここへ現れたのは今しがた登校したばかりのユウ。
「今日は何の日だと思いますか!」
「はあ?」
そんなことか、と呆れたように溜め息を吐いて。
「……ハロウィンに決まっているだろう」
「その代表的な台詞といえば?」
きらきらと輝くばかりの瞳に捉えられれば、まあ、答えずにはいられない。
「……トリックオアトリート」
「悪戯してください」
えっ。
「お菓子あげないので、悪戯してください……」
狙いはそれか!
「それとも、白くて濃厚なお菓子を御所望ですか!」
「限度を越した悪戯で貴様を黄泉の国へ送ってやろうか、速達で」
「どういう意味?」
「聞いちゃいけません」
訊ねるピチカの耳をそっと塞ぐリム。
「イかせてくれるんですね!」
「誰か止めたって……」
――常時、変態には御用心。